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令和4年12月定例会(第12日) 名簿
令和4年12月定例会(第12日) 本文

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  1. 福岡県議会 2022-12-12
    令和4年12月定例会(第12日) 本文


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯副議長(井上 博隆君) ただいまから本日の会議を開きます。  日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。川端耕一君。(拍手) *川端議員質問 2 ◯四十三番(川端 耕一君)登壇 皆さん、おはようございます。一番バッターで、ちょっと緊張しますが、しっかり頑張っていきたいと思います。自民党県議団川端耕一でございます。日本の伝統文化継承事業について質問いたします。  今回この質問をする理由は、地元で華道、生け花を四代にわたって教えておられる地元の三代目お家元からの要望をいただいたことで、質問をさせていただくに至りました。過去に、福岡県のハワイ州との文化交流周年行事で、華道を通じて交流に参加したことがあるという話や、最近そういう機会が少ない、ぜひやってほしいという話から、また別の海外との文化交流事業のときに、海外の国の子供たちが、自分たちの国の伝統文化を披露したり、誇りに思っているのに対し、日本の子供たちが、海外の子供たちに日本の伝統文化について聞かれたときに、説明や教えることができなかったそうであります。こんな中、国際化が進んでいる社会で、自国の文化を大切にし、自国の一員としてのアイデンティティーを持つことは大変重要であります。我が国においては、国際交流などの場面で、日本の文化に自信を持って相手に伝えられる人が少ないのではないかと感じました。我が国には、わび、寂といった独自の美意識があり、国際化が進んでいるからこそ、若いうちからこのすばらしさを実感し、日本人としての誇りを持った大人になってほしいと願っております。特に、茶道や華道などの日本の伝統文化を体験を通じて学ぶことは、日本古来の文化を継承するだけではなく、子供の心技体を整え、物事に向かう姿勢や心構えなど、人格を磨いていく上でも大変有効な取組であると考えております。  本年、県内三か所で開催された、伝統文化子ども体験フェスタinふくおかにおいては、落語や能、狂言、三味線などの鑑賞のほか、華道や茶道、将棋などのワークショップもあり、子供が本物に触れるまたとない機会となっております。  そこで、このように伝統文化を単に見て知るだけではなく、実際に体験することで、より奥深さを感じることができると思いますが、伝統文化を体験しながら学ぶ意義について、教育長の見解をお聞きします。  また、学校現場での活動については、例えば、京都市においては、市内全校で伝統文化教育として華道体験活動を実施しており、予算化もされております。今後学校の生徒全員まで、体験活動を通して自国の文化を伝承するような取組を広げていくと聞いております。  本県の学校現場においては、日本の伝統文化に関して、具体的にどのような活動に取り組まれているのか、教育長にお伺いします。  現状では、体験を通じて伝統文化を学んでいるのはほんの一部の子供に限られていますが、将来的には全ての子供が、実際に伝統文化を体験する機会を持つことが望ましいと考えます。  そこで、県教育委員会として、子供たち伝統文化を体験する機会の充実に向けて、今後どのように取り組むのか、教育長にお聞きします。  次に、学校教育の場だけではなく、それ以外の公的な国際交流やイベントの場面でも、福岡県の子供たちが海外の子供たち伝統文化を紹介したり、海外の子供たちと一緒に体験したりすることは、海外に日本の文化を紹介するという面だけではなく、相互理解を深める上で意義あることだと考えます。江蘇省との交流のときに、たしかお茶の交流事業で、当時副知事でした服部知事の御夫人も、お茶の先生として交流に御協力いただき参加していただいたのを思い出しました。その節はお世話になりました。  そこで知事に質問いたします。現在ハワイ州や江蘇省、バンコク都などの友好提携地域との間で、どのような青少年文化交流を実施しているのかお聞きします。  また、友好提携地域との交流事業において、伝統文化の体験を取り入れることについて、知事の考えと決意をお願いいたしまして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 3 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 4 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 皆さん、おはようございます。御答弁を申し上げます。  まず、友好提携地域との青少年交流事業についてお尋ねがございました。現在コロナ禍のために中断している事業もございますが、ハワイ州との間では、県立水産高校実習船海友丸が実習航海の際にホノルルに寄港し、現地高校生との交流を行っております。中国江蘇省とは、小中高校生が相互に訪問し、囲碁交流大会を開催しております。また、江蘇省青少年サッカー大会に本県の小学生のチームを派遣し、交流を深めております。また、タイ・バンコク都とは、高校生を相互に派遣をいたしまして、英語によるディスカッションを通し、交流を進めておりますほか、AIやIoTなどを学ぶ大学生及び専門学校生を相互に派遣して、地域の課題解決策を提案する交流を実施をしておるところでございます。バンコク都との交流事業におきましては、バンコク学生たちを受け入れる際には、県内の高校でありますとか、小倉城の日本庭園におきまして、日本とタイの学生が茶道や華道などの伝統文化を一緒に体験する機会を設けております。また、バンコク訪問時には、本県の学生が伝統舞踊や灯籠流しなどタイの伝統文化を体験しておるところでございます。  このような交流事業伝統文化体験を取り入れることについてでございます。自国の伝統文化を、その歴史的背景や精神を含めて学びますことは、現代の文化や社会の成り立ちとともに、日本人としてのアイデンティティーを考える機会となるものであると考えます。それを若い世代が理解した上で、海外との交流において、互いの伝統文化を紹介し合いますことや、共に体験をすることは、相互理解を深め、国際感覚を養うことにつながりまして、大変有意義なものであると考えております。今後も友好提携地域との青少年交流事業などにおいて、伝統文化の体験等を積極的に取り入れるなどして、国際社会の中で活躍できる人材の育成と友好関係の深化に努めてまいります。
    5 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 *教育長答弁 6 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 伝統文化を体験しながら学ぶ意義についてでございます。子供たちが茶道や華道を含む伝統文化を学ぶことは、これを育んできた我が国と郷土への親しみや愛着の情を深め、人間の生き方の基本とも言われる礼儀を学びながら人格を磨き、国際社会に生きる日本人としての誇りと自覚を育むといった意義があると認識をいたしております。とりわけ体験を通じて伝統文化の奥深さに感動したり、驚いたりしながら学ぶことによって、より理解が深まり、伝統文化を尊重し、継承、発展させる態度が育まれるなどの教育効果が高まるということが期待されます。  学校における日本の伝統文化に関する具体的な活動についてでございます。小中学校においては、総合的な学習の時間や社会科等で、我が国や地域の伝統文化について学んでおります。例えば、小郡市においては、伝統文化として代表的な茶道、華道について、小学校六年生や中学校一年生を対象に、専門家を講師に招いて、実演や体験を通した学習が実施されております。また、県立高校におきましては、伝統文化を扱う学校設定科目を開設している複数の例がございまして、例えば、福島高校におきましては、八女茶のおいしい入れ方と飲み方を実践的に学ぶ八女茶探求の科目を設けたり、生活教養という科目を設けて、華道の心、生け花の基本の学習を取り入れております。  子供たち伝統文化を体験する機会の充実についてでございます。小中学校においては、文化関係団体と協力し、専門家のアドバイスを得ながら、体験を通じて茶道、華道などの伝統文化について学ぶことの意義や効果、各学校における取組の好事例をまとめ、市町村へ周知、普及し、取組を促してまいります。県立高校においては、教員では指導が難しい茶道、華道において、専門的な技術指導力を備えた講師を学校に招聘し、生徒が体験を通じて学ぶ機会を設けており、今後とも伝統文化を学ぶ機会の充実に取り組んでまいります。 7 ◯副議長(井上 博隆君) 中嶋玲子君。(拍手) *中嶋議員質問 8 ◯十二番(中嶋 玲子君)登壇 おはようございます。民主県政クラブ県議団中嶋玲子でございます。通告に従い、二〇一七年七月五日からの降雨により発生した九州北部豪雨災害に対する知事の所見と復旧状況の総括、そして今後の復興について質問をいたします。  私は、県議会議員となって十四回の議会に臨み、毎回の一般質問の大半は、日田彦山線存続も含めて九州北部豪雨災害について質問をしてまいりました。この豪雨による災害は、本県では朝倉市、東峰村及び添田町等において、局地激甚災害の指定を受けております。当然その被害状況は、福岡県においても、過去かつて経験したことのないほどの未曽有の豪雨災害として記録や記憶から消えることはありません。  九州地方整備局が公表している資料では、この災害においての筑後川右岸流域被害状況は、発生土砂量約一千六十五万立方メートル、山腹崩壊による立ち木の発生流木量二十一万立方メートル、十二時間の雨量は五百十一ミリメートル、特に黒川地区では二十四時間最大雨量が八百二十九ミリメートルと、朝倉観測所観測史上最大の大雨でございました。また、福岡県復旧・復興推進本部会議の資料及び朝倉市災害記録誌によりますと、死亡者三十七名、行方不明者二名、朝倉市では建造物の流失、特に家屋被害は、全壊が二百六十戸、大規模半壊が百十九戸、土砂流入床上一メートル未満の半壊が六百六十四戸、一部破損が四百二十八戸、合わせて一千四百七十一戸ありまして、旧杷木町の私の住む校区では、総世帯数に対する被害世帯の割合は七四%という、まさに壊滅状態でした。  本県内での原形復旧改良復旧の必要な箇所は、合わせて道路で百十六か所、河川は百十一か所、砂防で七十一か所です。さらに、農地、農業用施設では、朝倉市で九百四十か所、東峰村百六十九か所、林道については、朝倉市六十か所と、東峰村七十五か所、添田町でも八か所あります。治山施設の整備は、朝倉市で二百七十二か所、東峰村は二十五か所、嘉麻市と添田町で二十六か所において事業がされてきました。一夜にして、見渡す限り山林、道路、河川、田畑、集落を含め、原風景をとどめない悲惨な被害状況でありました。被災からこの五年半、復旧工事のための膨大な予算と、たくさんの数の土木・建設関係の会社や工事事業者による技術と人員を投入していただき、復旧に全力で御尽力いただきました国、県、各自治体に対し、被災した私はもちろんですが、地元住民は深く感謝をしているところでございます。  地元では、この五年半という歳月、毎日毎日行き交う大量のダンプカーや工事車両や重機の大きな音を聞き、延々と続く河川改修砂防工事等を目の当たりにしながら暮らしてまいりました。その間、被災した住民の中には、長期避難を強いられたり、大型の砂防堰堤設置のために集落解散を余儀なくされるなど、住まいと居場所をなくした多くの人々の地域外への移転も多数ありました。また、被災後の復興したふるさとを見ることもできないまま、五年半の間に失意のうちにお亡くなりになられた多くの隣人に対し、やるせない思いや寂しさを抱えたまま、人口減でますます過疎化、高齢化する土地で生活をしています。  そのような中、一連の災害復旧事業を振り返ってみるとき、地元住民からしてみれば、国や県、市町村が所管の復旧作業を連日鋭意努力して遂行していただいていることは理解しているものの、復旧工事は何年も続き、長い年月で当たり前のように日常化してしまっています。実際のところ、現時点でどこの工事が終わったのか、この後どのような工事が残っているのか、いつになったら全ての復旧工事が完了するのか、自分たちの生活がいつになったら元どおりになるのかなどが大きな関心事です。  先日、八女香春線の松末橋の開通式には百名ほどの住民や元住民が集まり、その関心の高さがうかがえました。実際目で見て判断できる完成された構造物を見ると、感激とともに安心をするものでございます。しかし、河川改修の現場や崩壊したままの山林を見るにつけ、治山工事河川工事など、残っている工事がまだまだ多々あるように思ってしまいます。開通式に集まった住民の方々のお話を伺うと、復旧事業が開始されてから完了するまでの進行状況を詳細に知りたがっていることが分かりました。いつ頃を目安に復旧工事が全部完了するのか、どんな計画で復興してもらえるのか、元の状態に戻ることは可能なのかなどなどです。  そもそも本県では、平成二十九年の本災害から令和三年まで、五年連続で大雨特別警報が発表され、毎年豪雨災害に見舞われました。いずれの災害も自分たちに原因や落ち度があるわけでもありません。突然降って湧いた度重なる災難です。被害に遭われた方々一人一人にとっては、災害規模の大小にかかわらず、暮らしや生命、財産が奪われたつらさは同じであることは承知をいたしております。そのように頻発する災害の中、いまだに復旧半ばの状況にあるのが、私の地元朝倉市、東峰村を中心に発生した平成二十九年七月九州北部豪雨災害です。一般的な感覚では、五年半もたっていれば、常識的に考えても災害復旧は完了しているはずだ、とっくに地域は再生できているはずだと考えられていると思いますが、そうではありません。それほど大きな災害に見舞われたということです。でも、周りからは忘れられてしまうのですけれども、住民はいまだに苦しんでいるのです。  そこで質問をいたします。被災から五年半が経過して、復旧工事完了に向けて未完成箇所の工事が急がれていますが、福岡県から一部権限代行を依頼され、赤谷川改修等の工事を進めている国交省は、今年度いっぱいで撤退すると聞いています。  そこで、一点目は、未曽有の災害と言われたこの大規模災害について、また公共土木施設被害状況と復旧について、これまでの五年半を振り返っての知事の総括的な所見をお伺いいたします。  次に、二点目の質問です。本災害による公共土木施設の復旧の進捗状況、また完了に向けての今後の見通しについて、県、朝倉市、東峰村の所管する施設ごとに、また赤谷川流域で国が行う事業も含めて、詳細にお示しをいただきたいと思います。  続いて、三点目の質問です。農地、農業用施設、林道の復旧並びに治山施設の整備の進捗と工事完了に向けた今後の見通しについて、国、県、市町村ごとにお答えをいただきたいと思います。  次に、四点目の質問です。朝倉市の復興実施計画では、令和元年度までを復旧期、令和二年度から令和五年度までを再生期、令和六年度からを発展期と位置づけています。また、東峰村の復興計画では、令和四年度をめどに発展期への移行としているところです。計画によれば、市、村においては、いよいよ本格的に復興に取り組むことになります。  そこで、福岡県として復興に向けたソフト面、特に住民の活動の支援への考え方と、市町村への具体的な支援の方策についてお尋ねをします。  併せて、東峰村の意向調査では、被災した方も含めて六五%の村民の方が、将来の希望居住場所として、豪雨発生時と同じ場所、もしくは同じ行政区内、または村内の別の行政区と答えています。誰にとっても災害後の生活は被災前並みにできることが希望です。そのためには、今後において住民が主体的かつ積極的に地域づくり等の活動をすべきことも重要なことと認識しています。それぞれの地区で住民主体による復興への取組がなされている地区もぼつぼつ出てきているのに、他の地区の人たちは、その取組が始まっていることを知らない状況です。住民が協力し合い、切磋琢磨しながら、自らの地区での復興の取組をしていかなければ進まないのが復興です。住民の主体的な活動を喚起するため、県でも被災市町村でもよいと思いますが、今後復興に向けた県と市町村と住民との情報共有を行う担当部署の設置と、その周知が欠かせないと考えます。知事のお考えをお聞かせいただき、私の質問を終わりといたします。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手) 9 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 10 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  平成二十九年七月九州北部豪雨被災状況及び復旧についてでございます。この災害では、記録的な豪雨により山腹から発生いたしました大量の土砂と流木等が市街地にまで到達をし、多くの貴い命が失われました。また、家屋、農地、道路、河川等に甚大な被害が発生し、住民の方々の生活や地域の経済、産業にも大きな影響を与えたところでございます。この甚大な被害に対し、早期復旧を図りますとともに、より災害に強い地域づくりを行います観点から、原形復旧のみならず、河川の川幅を広げるなどの改良復旧事業を活用いたしまして、着実に復旧工事を進めてまいりました。また、特に被害が甚大でございました赤谷川流域につきましては、全国で初めて権限代行により、国に復旧工事を実施していただいたところでございます。これまでも地域の方々の思いを踏まえ、一日も早く元の暮らしを取り戻せるよう、国、市町村、関係機関と連携し、復旧に全力で取り組んでまいりました。今年の出水期前の五月には、私は、秋田章二前議長と共に被災地の復旧状況を視察をいたしまして、復旧が着実に進んでいることを実感したところでございます。  次に、九州北部豪雨復旧工事進捗状況についてお尋ねがございました。県が管理いたします道路、河川、砂防の公共土木施設原形復旧につきましては、全ての箇所で工事が完成しております。改良復旧につきましては、道路では、二路線三区間の全てで工事が完成しております。河川では、十三河川のうち四河川が完成しております。さらに、来年の出水期までに大肥川、桂川、妙見川及び権限代行により国に事業を実施していただいております赤谷川、乙石川、大山川が完成する予定でございます。残ります荷原川、白木谷川、北川につきましても、来年度内に完成する予定でございます。砂防では、五十七か所のうち四十か所が完成しております。さらに、白木谷川など十四か所が来年の出水期までに、残る志波谷川など三か所は来年度内に完成する予定でございます。国が実施をいたしております赤谷川流域直轄砂防事業では、砂防ダム三十一基のうち二十基が完成しております。残る十一基につきましても、今年度内の完成に向け、工事を進めていると伺っております。  朝倉市及び東峰村が実施しております道路、河川の復旧工事についてでございます。朝倉市では、原形復旧三百四十二か所のうち三百三十五か所が完成しております。残る原形復旧七か所に加え、改良復旧として実施をしております二河川につきましては、早期完成に向けて工事を進めていると伺っております。東峰村では、原形復旧百十四か所全てで工事が完成しております。引き続き着実な工事の進捗を図り、一日も早い復旧に取り組んでまいります。  次に、農地、農業用施設等復旧状況と今後の見通しについてお尋ねがございました。県と市町村で実施をしております農地、農業用施設原形復旧につきましては、朝倉市では七百三か所のうち六百九か所、東峰村では百六十九か所のうち百五十七か所が完成しております。その他の十一の市町につきましては、全箇所完成しております。朝倉市や東峰村の未着手箇所につきましては、農地を仮設道路として利用しております砂防工事などが進捗し、工事が可能となったところから順次着手してまいります。また、朝倉市が区画整理型で実施をしております河川沿いの農地の復旧につきましては、九河川十五区域のうち十四区域で工事に着手しておりまして、これまでに四区域が完成しております。さらに、一区域は今年度内に完成し、残ります九区域は令和六年度までに完成する予定でございます。未着手の一区域につきましても現在市で発注準備中でございまして、契約が調い次第着手する予定とのことでございます。  市町村が実施をいたしております林道の復旧につきましては、朝倉市では六十か所のうち五十一か所が完成、残る九か所も今年度内に完成する予定でございます。東峰村やその他の二つの市町では、全箇所完成しております。  県が実施しております治山施設の整備は、朝倉市では六十五か所のうち五十四か所、東峰村では二十五か所のうち二十二か所、嘉麻市と添田町では二十六か所のうち十九か所が完成しております。残りにつきましても、来年度内の完成に向け、工事とこれに必要な用地の確保を進めております。また、国が実施しております朝倉市の治山施設の整備は、二百七か所のうち七十二か所が完成しておりまして、残りにつきましても、事業期間でございます令和九年度内の完成に向けて工事を進めていると伺っております。  引き続き関係者との調整を進めまして、着実な工事の進捗を図り、一日も早い被災地の復旧に取り組んでまいります。  次に、復興に向けた住民の皆様の活動への支援についてでございます。朝倉市では、被災された住民の方の転出によりまして、過疎化、高齢化が加速をし、地域コミュニティーの存続が危惧される地域がございます。このような厳しい状況にある地域コミュニティーを再生いたしますため、一昨年度から住民の皆さんの交流活動を促進する朝倉市の取組に対し助成を行ってまいりました。これまでに被災地区とその隣接地区で、九地区九団体が活動をされております。具体的には、地元の住民と被災して転出をされた住民との田植えやこんにゃく作りなどを通じた交流、あるいは地域の祭りなど中断をしております地域行事の復活、農業体験など地域資源を活用した被災地域交流人口の拡大といったことに取り組まれておりまして、ようやくコミュニティー活動が元に戻りつつあり、復興を感じられる状況になってきたとの声もお聞きをしておるところでございます。東峰村では、来年度のBRTの開業に向け、駅周辺地域の魅力を高め、にぎわいを創出することを目的として、住民の皆さんが主体となってワークショップを開催されております。この場には、東峰村の職員と共に、県の市町村振興局の職員も参加をし、活発に議論を重ねているところでございます。朝倉市、東峰村の復興計画では、復旧、再生を経て、これから発展期を迎えます。今後の本格的な復興に向けては、住民の皆様が主体的に活動していくことが重要であると考えておりまして、県としては、このような取組を通じまして、市町村と力を合わせ、住民の主体的な活動を支援してまいります。  次に、行政と住民との情報共有についてお尋ねがございました。この本格的な復興に向け、コミュニティーを再生し、住民の皆様が主体的に活動を発展させていくためには、住民の皆様が他のコミュニティーの活動を知り、自らの、自分たちの活動に生かしていくことが重要であると考えます。県では、これまで市町村職員や自治会役員等を対象に研修会を開催をしまして、コミュニティーの活性化に取り組む上で必要となる知識やノウハウなどの情報を提供してまいりました。また、報告会を開催をし、買物の支援や子供の居場所づくりといった住民の皆様が主体となって取り組んでいる他の地域の先進的な活動事例なども提供してまいりました。今後も市町村振興局が窓口となり、被災市町村と連携し、住民の皆様に寄り添って、より密に情報共有を行い、地域の主体的な活動を後押しをしてまいります。 11 ◯副議長(井上 博隆君) 中嶋玲子君。 12 ◯十二番(中嶋 玲子君)登壇 服部知事、詳細な御答弁をありがとうございました。復旧がほぼ五年ぐらいから、来年に向けて完了していくというような見通しを教えていただきまして、安心をいたしました。  復旧、復興に必要なことは二点あるというふうに思います。一つは、住民が住み、働ける環境が整うというハード面、そしてもう一つは、住民が希望を持って生活する意欲を持つことだというふうに思います。被災住民にとって、復旧、復興の今後の見通しを知ることができ、地元で暮らし続ける希望と、今後の生活に意欲が出てくるものと思います。この今日の答弁を広く周知しながら、住民の皆さんたちに伝えていきたいというふうに思っています。  また、復興の担当部署につきましては、今年度体制を整えていただきました市町村振興局が当たっていただくということで、不安に感じている住民に寄り添った、積極的で実効性のある支援体制に御配慮をいただくよう期待を申し上げます。  ここで、二点要望をいたします。一点目は、朝倉市では現在、県で取り組んでいただいている農地中間管理事業の活用による耕作者の確保、九州北部豪雨被災産地復興加速化支援事業による営農支援の継続、そして被災者生活再建支援並びに被災地域交流活動支援事業について行っていただいていることを、朝倉市とお話をして、お聞きいたしました。でも、今後の継続を朝倉市は必要としています。ぜひとも復興支援として、引き続き取り組んでいただきますよう要望いたします。  二点目の要望は、地域の山林についてでございます。いまだに山肌があらわなままの状態の箇所は、あちこちで見られます。今後復旧対策が進められると考えますが、災害の再発防止、森林環境保全や緑地化の観点から、可能な範囲で広葉樹の植樹をぜひとも検討していただきますように要望いたして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 13 ◯副議長(井上 博隆君) 安部弘彦君。(拍手) *安部議員質問 14 ◯六番(安部 弘彦君)登壇 改めまして、皆さん、おはようございます。食と緑を守る緑友会福岡県議団の安部弘彦です。それでは、通告書に従いまして一般質問をさせていただきます。  今回は、世界で活躍する人材の育成についてであります。知事は、新しい時代の県政を進めるに当たり、挑戦していくものの一つとして、次代を担う人財の育成を掲げられ、令和四年、今年三月に第六次の福岡県青少年健全育成総合計画、いわゆる福岡県青少年プランを策定されました。この六次の策定に当たっては、第五次の計画期間を一年前倒ししての策定であり、知事の強い思いを感じることができます。この青少年育成プランの基本目標の中に、グローバル社会で活躍をめざす青少年を応援する、が掲げられており、国際的な視野を持ち、異文化や多様な価値観を尊重しながら、他者と協働することができる青少年が求められるとしています。  さて、県内には、諸外国との親善、交流を促進し、国際化時代にふさわしい住民の国際感覚の育成、国際理解の普及高揚を図り、国際親善と世界平和に貢献をすることを目的とした団体が幾つもあり、様々な活動をしておられます。その活動の中で、小中学生を対象にして、ゲームや遊びを通じて外国の方々の考え方や習慣等を学ぶ国際交流活動、教室の窓から世界をのぞくなどが行われています。また、私の友人が参画をしているNPO法人のじぶん未来クラブでは、ミュージック・アウトリーチというプログラムを実施しています。これは、世界共通言語である音楽を通して数百人の子供たちが共に学び、お互いの個性を尊重し、自分の可能性を発掘する教育プログラムです。このプログラムでは、様々な芸術分野で専門教育を受けたキャスト三十人ほどが、僅か三日ほどで小中高校生たちと一緒に歌やダンスのショーをつくり上げます。キャストメンバーは十七歳から二十五歳のアメリカを中心にドイツ、カナダ、フィリピン、日本など世界中から集まっており、パフォーマンスだけでなく、教育に情熱を持ち、これまで多様な年齢、文化的背景を持つ子供たちを教えてきた経験も持っています。  二〇一六年六月十三日から十五日の三日間、私の地元岡垣町の内浦小学校へ、このプログラムを誘致しました。来日メンバーの期間中の宿泊(ホームステイ)先の手配など苦労もありますが、開始時には不安そうだった子供たちの表情が、短期間で歌やダンスのショーをつくり上げたときには、とても晴れやかに変わっており、達成感で満たされた子供たち、キャスト、学校関係者、来場された保護者など、皆さんの笑顔を思い出すと、今でも感慨深いものがあります。文化や言語の違いを超えて親しまれている音楽を通して、数百人の子供たちが共に学び、お互いの強みを尊重し、自分の可能性を発掘しながら、参加者一人一人が他人と違った個性を持っていることを認識し、自信を獲得し、自分と違った感じ方をする他人の存在を認め、その尊さを学ぶことができます。また、様々な国の出身であるキャストとの触れ合いの中で、他文化への関心を高め、異なる言語を学ぶことへのモチベーションの喚起をすることができます。こういった活動が草の根的に多くの地域で取り組まれ、多くの子供たちに体感してもらえればと思います。これらは国際感覚を身につけることや国際理解のための体験的活動としてとても効果的であると考えています。  そこで教育長にお尋ねをいたします。子供たちが、小学生のうちから世界を感じるような体験活動を行うことの意義について、どのような認識をお持ちか、またどのように取り組んでおられるのかお示しください。  さて、グローバル社会で活躍できる人材となるために、国際感覚を身につけることの重要性について述べてまいりましたが、ほかにも必要な要素があります。まずは語学力です。外国語の中でも英語は国際的共通語として最も中心的な役割を果たしており、コミュニケーションのツールとなっています。世界では英語を母語、公用語、準公用語とする人々が多く、二十一世紀を生き抜くためには、国際的共通語としての英語のコミュニケーション能力を身につけることが不可欠であると言われています。しかしながら、日本人の英語運用能力は、国際的に見て十分でないという指摘もなされており、日本人自身の一層の国際化及び国際社会で活躍する人材の養成のために、国家戦略として英語教育の充実を図る必要があります。こうしたことから、学校教育において小学校での外国語が教科化されるなど、その取組が進められています。  そこで教育長にお尋ねをいたします。本県の義務教育段階における英語力について、これまでの取組と現状をお示しください。  最後に、日本人としてのアイデンティティーについてであります。国境を越えて様々な人々と関わる上で、自分は何者なのかというバックグラウンドを説明できる人材が求められています。こちらが海外の文化に興味や理解を示すように、海外の人々も日本の文化に理解を示そうとしてくれます。その際に、自国の文化や風習についての知識や態度を身につけ、日本人としての考えを根本に持ちつつ、自分のベースや日本のよさなどをアピールできる人材が求められると思います。  そこで教育長にお尋ねします。義務教育を通して、子供たちが自国の歴史や文化についてどのように学んでいるのかをお教えください。  教育長の前向きな答弁を期待し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 15 ◯副議長(井上 博隆君) 吉田教育長。 *教育長答弁 16 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 世界を感じる体験活動についてでございます。外国人との交流体験は、文化の多様性を実感するとともに、その比較を通して自国の文化のよさを再認識したり、外国語でのコミュニケーションの楽しさを体験し、外国語学習の意欲を高めたりするなどの効果がございます。また、外国人との自然な関係を築いたり、将来の自分の進路を世界に向けたりすることにつながると考えております。このため、県教育委員会におきましては、小学校五、六年生を対象に、世界各国のスポーツや食文化をテーマに、外国人の先生と交流をしたり、日本の特徴を英語で外国人に伝えたりするイングリッシュ・チャレンジを実施をいたしております。また、民間の英語体験施設を利用した学習や、オンラインによる英会話など小学生の体験型英語学習について、市町村への支援を実施をしているところでございます。  本県の義務教育段階における英語力についてでございます。これまで県教育委員会においては、英検IBAテストの受検と、その分析に基づいた授業改善や中学生英語スピーチコンテストの実施、英語教育重点支援市町村へのイングリッシュサポーターの配置などの支援を実施をしてまいりました。これらの取組や日々の授業改善を通して子供たちの英語力は向上しており、昨年度の国の英語教育実施状況調査では、英検三級程度以上の英語力を有する本県中学三年生の割合は五三・六%であり、三回連続で全国平均を上回っているところでございます。  自国の歴史や文化に係る学習についてでございます。異文化を理解し、国際感覚を身につけるためには、我が国の歴史や文化に関する教育を通して、まずは日本人としてのアイデンティティーを培っていくことが重要でございます。学校教育では、社会科を中心に先人の業績について学んだり、現在日本人が親しんでいる建築様式や能楽などの芸能が、どのように現代に受け継がれているのかについて学んだりしております。広くグローバル社会で活躍する人材を育成するため、民間等と連携した国際交流の機会の充実とともに、児童生徒が我が国の歴史に対する愛情や文化を尊重する態度を身につける教育に取り組んでまいります。 17 ◯副議長(井上 博隆君) この際、しばらく休憩いたします。再開は午後一時といたします。           午 前 十一時 五十一分  休 憩           午 後 一 時  一 分  再 開 18 ◯議長(桐明 和久君) 再開いたします。  休憩前に引き続き一般質問を行います。順次発言を許可いたします。松下正治君。(拍手) *松下議員質問 19 ◯三十四番(松下 正治君)登壇 皆様、こんにちは。公明党の松下正治です。早速、通告に従い質問に入らせていただきます。  本県教育委員会は、平成二十七年十二月、本県学校教育の振興のための施策の基本的な方向性や考え方、重点的に取り組む施策を示した福岡県学校教育振興プランを策定し、今年三月に、ICT環境整備、活用促進、教職員の働き方改革、子供の多様化、コロナ禍による影響等、学校教育を取り巻く環境の変化に対応するため同プランを改定しています。そこで、この改定された福岡県学校教育振興プランに関連して、以下質問します。  最近の報告によりますと、本県の昨年度の公立小中学校の不登校人数が、一昨年度を二千五百四人上回り一万二千六十九人となり、過去最高を更新、さらにいじめや長期欠席、暴力行為のいずれも増加している深刻な状況にあるとのことでありました。同プランの目標達成には、こうした本県の学校現場の深刻な現状を踏まえた、より一層の取組を実行していくことが求められると思います。特に、不登校等の状況についての対応は、学校だけではなく家庭や支援機関等との連携した対応が欠かせないものと考えます。福岡県学校教育振興プランにおける学校教育で重点的に取り組む施策の不登校児童生徒に対する支援の充実は大変重要な施策と認識します。  そこで質問します。先ほど述べたように、不登校児童生徒の数が増加していますが、本県における不登校対策について、教育長にお尋ねいたします。  ところで、最近の社会情勢で、共働き世帯が増加しており、新型コロナ感染による突然の休校に伴い、子供の世話のためにやむなく仕事を休む保護者が多くいるため、そうした保護者に有給休暇を取得させた事業主への小学校休業等対応助成金が、来年三月末まで延長されることとなりました。また、近年夏休み等の長期休暇等に学校の放課後児童クラブに子供を預ける家庭も増える傾向にありますが、働きながらの子供の弁当の用意は負担が重く、全国的に放課後児童クラブで独自に昼食の提供に取り組む自治体もあると聞きます。福岡県学校教育振興プランには、その施策を進めるに当たって、社会全体が一体となって本県の未来をつくる子供を育てるために、県民一人一人が教育について考え、当事者としての意識を高める重要性を述べ、様々な関連機関との連携を推進するとしています。  そこで、以下二点、知事に質問します。まず一点目、保護者が子供の世話のため有給休暇を取りやすい職場環境の実現に向けて、本県での取組は現在どのように行われているのでしょうか。また今後どのように行うのかお尋ねいたします。  次に、二点目、保護者の負担軽減のため、放課後児童クラブにおいて、希望する家庭の子供に対しては昼食の提供に取り組むべきと考えますが、どうでしょうか。本県内のクラブにおいても、昼食の提供に取り組んでいただくよう県として支援を進めるべきと考えますが、知事の御所見を求めます。  続きまして、本県の情報モラルの育成についてお伺いします。福岡県学校教育振興プランには、学校教育で重点的に取り組む施策として豊かな心の育成があり、その中に、子供のICT環境の変化に対応した情報モラル教育の充実が掲げられています。文部科学省では、情報モラル教育とは、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任を持つことや、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピューターなどの情報機器の使用による健康との関わりを理解することなどを説明しています。コロナ禍の長期化により人とのつながりの希薄化の進行が社会問題になっている現代にあって、学校におけるDX推進には、情報モラルの根底にある基本的人権をはじめ、他者への思いやりや共感の気持ちを大切にすること、これを大前提にする必要があると考えます。  そこで、情報モラルの育成について、本県ではどのように取り組んでいるのか、教育長にお尋ねします。  さて、教員の職務は人間の心身の発達に関わっており、その活動は子供たちの人格形成に大きな影響を与えるものである。教育は人なりと言われるように、学校教育の成否は教員の資質、能力に負うところが極めて大きいと文部科学省は指摘しています。まさに子供にとって最大の教育環境は教師であると思います。そうした観点から、本県が福岡県学校教育振興プランで、教員の指導力、学校の組織力の向上に取り組むのは評価できます。ただ、最近のコロナ禍の対応や教員不足、新規教材、カリキュラム導入への対応等により教員の負担は増加傾向にあり、教員の激務に対する支援は急を要すると考えます。  そこで、以下四点、教員に関して教育長にお伺いします。まず一点目、本県の教員の勤務時間管理の実態はどのようになっているのでしょうか。県立学校では、勤務時間の適切な把握に取り組むために、勤務時間管理システムを導入していますが、システム導入による成果をお示しいただくとともに、市町村立学校でのICカード等による勤務時間管理の状況をお尋ねします。  併せて、仕事の自宅への持ち帰り等で正確な勤務実態が把握できないなどの課題解消に向けて県はどのように取り組むのか、教育長の御所見を求めます。  次に、二点目、今年度から文部科学省は、小学校高学年での教科担任制を導入していますが、本県の教科担任制の導入状況はどのようになっているのでしょうか。制度の導入による効果は上がっているのか、教育長にお尋ねいたします。  ところで、教員不足を補うためには、定年退職後も再任用を希望する教員を増やしていくことも有効であると考えます。しかし、退職後に担任等の職責を担うのは体力的な面からも負担が大きいとの声が聞かれます。再任用の教員採用については、よりよい効果が得られるよう適材適所の配置が望まれるところです。  そこでお尋ねします。実際に再任用の教員のうち担任を受け持つケースは、本県小中学校でどのくらいあるのでしょうか。再任用教員の適材適所が行われるための本県の取組について、教育長にお尋ねします。  最後に、若手教員の育成について質問します。コロナ禍やDX進展等により職場環境が変化し、若手教員とベテラン教員とのコミュニケーションが適正に取りづらくなっているのではないかということが懸念されます。両者の間でコミュニケーションが十分に取れ、授業内容の情報交換等により授業の質の向上が図られていくことが望まれます。学校現場において、ベテランが若手に伴走するようなコミュニケーションが取れる職場環境の構築が理想であると思います。  そこで質問します。校内における若手教員の育成は大変に重要であると考えますが、本県ではどのように取り組まれているのか、教育長にお尋ねします。  以上、本県の未来をつくる子供を育む教育、子供のための教育のさらなる推進を願いまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 20 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 21 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  子供の世話のための休暇を取りやすい職場環境づくりについてお尋ねがございました。県では、企業のトップ自らが従業員の仕事と子育ての両立を応援する取組を宣言し、実行する、子育て応援宣言企業登録制度を通じ、従業員の皆様が休暇を取得しやすい職場環境づくりを促進しております。現在、この子育て応援宣言企業に登録いただいている企業数は八千二百社を超えているところでございます。企業には、休暇を取得しやすい職場づくりに関する宣言例をお示しをしておりまして、実際に約七割の企業におきまして、気兼ねなく休暇が取得できるよう、お互い声かけを行う、休暇の取得を日頃のコミュニケーションの中で積極的に促す、あるいは急な休みにも対応できるよう協力体制を整えるなどといった宣言が行われているところでございます。今後とも、この子育て応援宣言企業への登録を呼びかけますとともに、宣言企業の人事・労務担当者による実務者会議におきまして、従業員の休暇取得についての課題やその解決策をお伺いし、好事例につきまして、ホームページやメルマガ等を通じ県内企業に対し情報提供を行ってまいります。  次に、放課後児童クラブでの昼食の提供についてでございます。子供の弁当を用意し、持参させることは、働く保護者の方の負担が増加する、また夏季休業中の暑い時期には食中毒の危険が増すなどの課題がございまして、放課後児童クラブにおいて昼食を提供する取組は、このような課題の解消に資するものであると考えております。一方で、子供のアレルギー対応や弁当代金の徴収など、弁当発注の取りまとめに伴います放課後児童支援員の負担が増加するといった課題もございます。これにつきましては、既に県内でも、保護者がアレルギー食材の有無をメニューで見て確認し、支援員を介さずに、直接スマートフォンから注文できる弁当サービスアプリを提供することで対応しておるところもございます。今後、放課後児童クラブの実施主体でございます市町村に対し、地域の状況に応じて検討していただきますよう、導入のメリットや課題、またこのような先行事例などを紹介を行ってまいります。 22 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 23 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 本県における不登校対策についてでございます。県教育委員会では、これまで学校を中心として不登校の未然防止、早期発見、早期対応、継続した支援の取組、スクールカウンセラー等の専門スタッフの配置、信頼関係のある教員によるマンツーマン方式による支援などの対策に取り組んでまいりました。その上で、不登校児童生徒への支援を一層充実させるために、昨年十二月に、福岡県不登校児童生徒支援グランドデザインを策定いたしました。これに基づき学校、家庭、地域はもちろん、教育支援センターや民間施設等が連携して取組を進めることで、個々の児童生徒に応じた多様で適切な学びができるよう支援をしてまいります。  次に、情報モラルの育成についてでございます。児童生徒にとってICT機器やインターネットは身近な存在になっておりますが、一方で、様々なトラブルやリスクが伴います。このため人権感覚を養い、被害者にも加害者にもならないよう、情報モラルを育成することが大変重要です。そのため学校では、例えばメールを使用する際の心構えやインターネット上での適切な情報発信などについて、教育活動全体を通じて情報モラルの育成に取り組んでおります。また、県教育委員会では、各学校における情報モラル教育の着実な実施のため、情報モラル教育を担当する教員に対し研修会を実施をしております。  次に、教員の勤務時間管理についてでございます。県立学校では、勤務時間管理システムを導入して勤務時間を適正に把握し、教職員の意識改革や業務の効率化等を進めたことによりまして、昨年度超過勤務が月八十時間を超えた者は月平均で三百九十二人となり、令和元年度と比較し約四割減少するなど改善が図られております。一方、市町村立学校では、五十三市町村でICカード等による勤務時間の把握がなされており、残る七市町村に対しては、同様の客観的な方法による計測に移行するよう促しております。また、県立学校では、自宅等に業務の持ち帰りは行わないことを原則としており、啓発リーフレットを全職員に配付し、周知徹底を図っております。市町村におきましても、業務は学校内で行うことを基本としつつ、校外での業務を含めた超過勤務全体の把握と、その縮減を図るよう働きかけを行っております。  小学校における教科担任制の導入状況についてでございます。国においては、小学校高学年における教科担任制の推進のため、今年度から四か年程度をかけて、全国で三千八百人の専科指導教員の定数改善を予定をしております。本県では、現在国の加配定数も活用し、約八割の小学校で地域や学校の実情に応じた専科指導の取組が行われており、専門性の高い教科指導により、教育の質の向上が図られるとともに教員の負担軽減にもつながっております。今後とも、小学校における専科指導の充実のため、国に対して必要な定数要望を行うとともに、市町村教育委員会の意見も聞きながら、その効果的な配置に努めてまいります。  小中学校における再任用職員の配置についてでございます。今年度小学校で再任用されている教員三百六十九人のうち約六割の二百二十一人、中学校では二百九十五人のうち約三割の九十四人が学級担任をしております。再任用職員の配置につきましては、教育の質を維持しつつ、職員の勤務意欲の向上を図り、その知識、経験が活用できるよう、本人の希望や経歴等を総合的に勘案し、市町村教育委員会や学校長の意見を踏まえ、決定をいたしております。今後とも再任用職員の適切な配置を進めるとともに、高齢期の職員が安心して働ける職場環境の整備に努めてまいります。  校内での若年教員育成の取組についてでございます。県教育委員会では、実践的指導力や使命感などを養うことを目的として、採用から三年間の若年教員研修を実施をしております。特に、採用一年目においては、年間を通して系統的、組織的な研修が行えるよう、初任者の指導、助言に当たる指導教員を中心に校内指導体制を整えております。また、学校現場においては、ベテラン教員と若年教員を同じ学年に配置したり、ベテラン教員の中から担当者を決めて、日常的な業務の中で若年教員の仕事の悩みに寄り添い、支援するなどの取組を行っております。今後も、これからの本県の学校教育を担う若年教員の育成に取り組んでまいります。 24 ◯議長(桐明 和久君) 吉村悠君。(拍手) *吉村議員質問 25 ◯四十二番(吉村 悠君)登壇 こんにちは。自民党県議団の吉村悠です。通告に従いまして、スポーツによる地域振興について質問をさせていただきます。  先日のサッカーワールドカップ日本代表の試合、皆様方も御覧になったかと思います。残念ながら、決勝トーナメント一回戦ではPKで敗れてしまいましたが、グループリーグで強豪国に果敢に立ち向かい、逆転して勝利する様子は、日本中を盛り上げました。世界的なスポーツ大会は、見る人に勇気や感動を与えます。世界的なスポーツ大会と言えば、私の地元である北九州市では、昨年十月に世界体操・新体操選手権を開催し、東京オリパラ大会以降では、国内初の大規模なスポーツ大会として注目をされました。コロナ禍ではありましたが、北九州モデルと言われるような安心、安全な大会となり、北九州市民にとっても身近な地域で開催される世界大会を間近に感じることのできる貴重な体験となりました。
     皆さんも御存じのように、これから福岡県ではスポーツの世界大会がめじろ押しです。来年二月には、二〇二四年パリ五輪で初めてオリンピックに採用されるダンス競技、ブレイキンの世界大会が北九州で開催されますし、七月には、延期されました世界水泳大会が福岡市で行われます。そして十月には、代表質問の来年度当初予算の考え方で知事御自身もお答えになっておられました、北九州市がスタート地点で福岡県を巡る国際サイクルロードレース、ツール・ド・九州二〇二三が開催されます。このツール・ド・九州についてですが、本年三月に開かれた予算特別委員会で、コロナ禍で沈んだ県民の心をスポーツの力で活力を与えるような大会になることを期待して質問させていただいた際、大会自体の魅力と併せ、福岡県、九州が持つ観光や文化、食といった魅力を広く世界にPRし、県民の皆様に勇気と感動、活力を与えることができるものとなるよう取り組んでいくという御答弁をいただきました。そこでまず、今回の一般質問では、それから今までの間の取組についてお聞きをしたいと思います。  最初の質問です。ツール・ド・九州二〇二三について、福岡県における大会の実現に向けたこれまでの取組状況についてお聞かせください。  本大会の開催までまだ約一年の時間があります。前回の質問でもお聞きしましたバーチャルツール・ド・九州をはじめとして、さらなる宣伝を行っていくことが、大会の盛り上がりや機運醸成につながっていくと考えております。  そこで質問です。今後どのように工夫をして取り組んでいくことで、大会を盛り上げていこうと考えているのかお聞かせください。  まだまだ北九州市をはじめとして、市町村との連携をする余地がありますし、さらなる協力は必須であると考えておりますので、その点も踏まえてお答えください。  ツール・ド・九州二〇二三には、海外、国内合わせて約二十チームのプロチームが参加し、二百名ほどの選手、関係者が本県を訪れると聞いております。また、海外からの入国制限等も緩和されていることから、大会に出場しないサイクリストやサイクルレースファンなど、観戦を目的として、国内外から多くの方の来福が期待されます。本大会では、ステージレースに先立ち、小倉城周辺を周回するクリテリウムというイベントが計画されておりますが、来福された方々による多数の観戦客が来場することが予想されます。これは福岡県の魅力を発信する、またとない機会です。  福岡県の魅力の発信と言えば、先月、福岡市内で開催されたアジア獣医師会連合大会、通称FAVA大会では、隣接する地行中央公園を会場として、福岡県農林水産まつりが同時開催されておりました。相互に誘客が図れることで、国内外から約八万人もの来客者で大にぎわいとなっておりました。私自身も参加させていただき、先輩方ともおいしい物をいただきましたが、福岡県各地の物を手軽に味わうことのできる機会は、県内の人間にとっても本当に楽しい時間であると思います。もちろん、農林水産まつり自体は二年に一度ということですので、それそのものというわけにはいかないかもしれませんが、大きなイベントが行われる際に消費者参加型のイベントを行うことには、とても大きな効果があると考えます。  ところで、ツール・ド・九州の話に戻しますと、現段階でも通過する市町村の名産品等の聞き取りは、担当の課のほうで一か所一品ずつ行っているようです。なぜ原則一品かというと、動画配信用の聞き取りですので、時間の都合だと思いますけれども、動画配信だけで終わらせるのは、あまりにもったいないと思います。今さら言うまでもなく、日本中に知れ渡っていると思いますが、福岡県にはおいしい物が多くあります。小倉だけでも、どきどきうどんや焼きうどん、小倉牛もありますし、今議会においても、日本一の博多和牛や八女茶、あまおうの質問等も出ておりました。これらのおいしい物を、スポーツの担当の部署だけでは限界があると思いますので、他の部局とも連携をしながら、実際に味わってもらう場をつくることができれば、たくさんの方の呼び水にもなりますし、すばらしい福岡県の宣伝になるのではないでしょうか。  最後の質問です。さきの事例を踏まえ、ツール・ド・九州二〇二三大会を活用し、県産農林水産物等の魅力をPRしてはどうかと思いますが、知事の考えをお聞かせください。  先ほど、大会まで約一年と言いましたけれども、実際は大会まで一年を切っております。小倉出身の知事のリーダーシップによる成功に向けてのしっかりとした取組を期待し、質問を終わります。(拍手) 26 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 27 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  ツール・ド・九州二〇二三の取組状況についてでございます。本大会の開催に向けましては、今年三月、一般社団法人ツール・ド・九州を設立いたしまして、競技コースの精査や国際大会の認定に向けた準備を進めてまいりました。この社団法人におきましては、英国人の競技ディレクターを五月に採用いたしまして、コース設定や競技運営について専門的視点からの助言を受けながら、大会開催申請書を作成してまいりました。その結果、九月には国際自転車競技連合から、世界選手権やオリンピックなどの出場権獲得につながるポイントを獲得できるクラスワンとしての開催が承認をされました。県では現在、交通規制や迂回路の設定について県警察や交通事業者、商業施設、地域コミュニティーと、緊急時における対応など安全な大会運営に向けて県警察や消防本部と、大会当日のイベントなどについて通過市町村と、開催に向けてそれぞれ協議を進めているところでございます。  大会を盛り上げていくための取組についてお尋ねがございました。県では、これまで大会の周知と機運醸成を目的に、バーチャルリアリティーを活用した自転車レースの体験イベントを、イオンモール筑紫野など県内四か所の大規模商業施設で開催をいたしまして、家族連れを中心として四千人を超える方々に御参加をいただきました。また、プロレーサーをはじめとする国内外の自転車愛好家をオンラインでつなぎ、ツール・ド・九州福岡コースを使ったバーチャルレースを開催をいたしまして、海外の愛好者を中心として、これも四千人を超える方々に大会の魅力を体験していただいたところでございます。レースに参加したプロレーサーからは、コースの景観がすばらしく、魅力的なコース設定になっているとのコメントをいただいておりまして、今後大会への出場が決定したプロレーサーの皆さんに、国内外の自転車愛好家に向けてSNSで発信していただき、大会をPRしてまいります。今後は、通過市町村においてもバーチャルリアリティーを活用した体験イベントに取り組んでいただけるよう協議を進めてまいります。また、通過市町村における観光スポットや文化、食などの魅力を伝えますプロモーション動画、これを今年度作成をいたしましたので、この動画を大会のホームページやSNSを活用して国内外に発信し、大会への関心を高めますとともに、レース観戦と県内でのサイクリングを組み込んだモデルコースを国内外の旅行会社へ紹介し、旅行商品の造成を促してまいります。  次に、大会を活用した県産農林水産物のPRについてでございます。競輪発祥の地北九州市をスタート地点といたします今回の大会につきましては、国内外からレース参加者をはじめ、関係者、観客が来福されるなど注目を集めることが期待されますことから、県産農林水産物やその加工品などをPRするには絶好の機会であると考えております。このため県といたしましては、大会の開催に合わせまして、ふくおか地産地消応援の店や、ふくおかの地魚応援の店などでフェアを開催し、県産農林水産物の魅力を発信してまいります。加えまして、議員の御指摘を踏まえ、来訪者にワンヘルス認証農林水産物をはじめとする県産農林水産物を紹介し、食べていただき、楽しんでいただくイベントを、この大会に合わせて開催することにつきましても、北九州市や開催団体と協議し、県庁においても部局横断的に取り組んでまいりたいと考えております。 28 ◯議長(桐明 和久君) 山本耕一君。(拍手) *山本議員質問 29 ◯十一番(山本 耕一君)登壇 皆さん、改めまして、こんにちは。民主県政クラブ県議団の山本耕一です。発言通告に従って、教育長に二項目について質問してまいります。  まず、本県の高校教育における地域学へのさらなる取組について伺います。日本が深刻な高齢化と人口減少に直面する一方で、限られた都市圏への人や経済活動の一極集中が進み、地方社会や地方経済の持続可能性低下が大きな課題となっています。私の地元北九州市若松区でも人口減少傾向が続いているのが現状です。北九州市がまとめた統計情報によりますと、大学等を卒業後、就職をする年代で多くの若年者が北九州市から転出しており、二十歳代は転出が転入を上回っています。また、転職期とされる三十歳代でも転出が転入を上回っている状況です。さきに述べたような地方からの人口流出を食い止めるためには、高校や大学卒業後に就職する人たちの地元定着率を向上させることが非常に重要ではないかと考えます。  そこで、この項目の一点目に教育長に伺います。まず、県内の公立高校を卒業して就職する場合、県内企業への就職率をお教えください。併せて、地元就職についての教育長の認識をお教えください。そして、県教委として、地元就職を進めるために、これまでどのような取組を行ってこられたのかお教えください。  さて、富山県では県教育委員会が主導し、中学二年生が五日間学校を離れ、地域の職場体験活動やボランティア活動を行う社会に学ぶ十四歳の挑戦という取組を、一九九九年から行っています。この結果、若者の地域への理解や愛着度が高まり、将来的に地元企業に就職する人が多くなっているとのことです。実際に、高校時代までに地元企業を認知しているほど出身市町村への愛着が強いとともに、一旦県外に居住したとしても、出身市町村へのUターンを希望する実態があるとの学術報告がなされています。  文部科学省は、二〇一八年に社会に開かれた教育課程の実現が重要として、高等学校学習指導要領を改訂し、高等学校と地域との協働について推進する方針を打ち出しました。これらに基づき、本県の県立高校でも、地域と連携した取組を取り入れた、いわゆる地域学に取り組まれていることは承知しております。私の長男が通学し、自民党県議団の中尾正幸先生の母校でもある県立若松高校は、昨年度より若松学と題した地域創生学習活動を行っています。学校のある北九州市若松区内の事業所や企業を生徒自ら探訪し、経営者らにインタビューするなどした成果を、このたび「若松区企業探訪」という本にまとめました。その巻頭において、若松高校の小山繁校長は、この取組の目的についてこう述べています。あと二十年もすれば、現高校生がおのおのの住む町の中核を担うことになります。在籍する学校を取り巻く町を、自分たちの目で見て検証し、若い柔軟な発想で、その町の未来を創造する。これこそがSDGsが提唱する十一番目の住み続けられるまちづくりの提案につながっていくのではないかと考えます。そして若松には、もう一校の県立高校、若松商業高校がございます。この若松商業においても、地域との連携の取組として、外部広報アドバイザーとのタイアップで、若松区内の名物飲食店を生徒が探訪し、グルメ本の制作に目下取り組んでいます。地元を詳しく知り、愛着を育んでいくことは、地域への定着、地方の活性化のためにも非常に重要であることは、さきに述べたとおりですが、各高校のいわゆる地域学への取組を見てみますと、机上の学習のみと思われるようなものも散見され、その内容には濃淡があるように感じます。現在の県立高校における地域学への各校の取組をさらに活発にするため、若松高校などの好事例を横に展開していくことが重要です。県教育委員会が主導して、例えば地域学コンテストを実施するなど工夫を凝らす必要があるのではないでしょうか。  そこで、この項の二点目に教育長に伺います。県立高校における地域学への取組をさらに活発にするため、県教委としてどのように取り組んでいくのか、具体的な方策をお示しください。  続いての質問に移ります。先月三十日、ユネスコは盆踊りや念仏踊りなど全国四十一件の民俗芸能を風流踊として無形文化遺産に登録することを決めました。この中には、本県豊前市の太鼓踊り、感応楽も含まれています。私は、二〇一九年九月議会の一般質問において、感応楽を含む本県に伝わる無形の民俗文化財の継承、保存について、当時の城戸教育長に質問しました。城戸教育長は、平成三十年度(二〇一八年度)から四か年をかけ、県内に多数ある無形の民俗文化財のうち、祭り、行事の悉皆調査に市町村の協力を得ながら取り組んでいるとし、さらにその調査を踏まえ、当該市町村において価値が認められ、かつ変容、衰退のおそれが高いものから順次記録化を進めるよう働きかけてまいると答弁されました。予定どおりであれば、昨年度末で悉皆調査は終了しているはずですが、新型コロナ感染症の影響で祭り行事の多くが一時的に休止された影響などで、現在も継続されて調査されていると聞き及んでおります。  そこで、この項目の一点目に教育長に伺います。福岡県の祭り、行事の悉皆調査の目的をお示しいただくとともに、対象行事と進捗状況、そして調査がいつまでに終了するのかをお教えください。  次に、私は、先ほどから述べている二〇一九年の一般質問において、映像記録、とりわけ動画での記録の重要性についても申し述べました。理由は、例えば様々な理由により中断や消滅した祭り、行事を後年になって復活させたいと思った際、文章や写真の記録だけでは、動的な要素のある祭り行事の場合、かけ声の調子や舞い踊りの振りつけなど、その祭りを特色づける要素が再現不可能になってしまうおそれがあるからです。  そこで二点目に、祭り行事調査における映像記録の詳細について御説明ください。  かつては高画質の動画記録を撮影しようとすれば、非常に高価な機材を所有するプロの撮影者に依頼するなど必然的に金銭的な負担が大きくならざるを得ませんでした。実際のところ、今年度で三百二十万円余という限られた調査予算で動画記録まで網羅することは難しかったと推察しますが、昨今は非常に鮮明な動画を記録できる機器が安価に手に入るようになりましたし、スマートフォンで撮影したものでさえ、驚くほど鮮明です。次の機会があれば、動きのある祭り行事に関しては、ぜひ高画質の動画記録も悉皆で実施していただければと、この点については要望しておきます。  さて、こうして調査した内容や映像記録については、県民の知的財産として大いに活用すべきと考えます。多くの人がアーカイブとして活用できるよう、インターネット等で気軽にアクセスできる環境を整えるとともに、その調査結果を祭りの調査の対象である無形の民俗文化財自体の継承にも役立てていくべきと考えます。また、祭り、行事の継承に当たっては、実施団体が保存、継承の当事者として大きな役割を果たしますが、その実施団体が国の補助金などの必要な情報を知らないという声も耳にいたしますので、何らかの手だてを講じる必要があると思います。  そこで、最後に教育長にお伺いいたします。祭り、行事調査の成果や映像記録を活用していくに当たり、これらをどのような形で県民に公開していくのか、また無形の民俗文化財の保存、継承に向けてどのように役立てていくのかお答えください。さらに、保存、継承に関する補助金制度を、実施団体が把握できるための取組について、併せてお答えください。  以上、教育長の真摯な御答弁を期待し、私の質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 30 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 31 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 地元就職への認識等についてでございます。現状では、県立高校を卒業して就職する生徒のうち、約八割が県内に就職をいたしております。高校生が就職を希望する企業が地元にあって、そこで職を得て、地域を支える人材として活躍することは、その地域の振興等につながるものと考えております。県教育委員会としましては、生徒が在学中に地元企業を知る機会の充実など、地域産業界等と連携した教育活動を一層推進することで、地域や社会の将来を担う人材育成を図っております。  県立高校における地域学の取組の活発化についてでございます。県立高校では、社会に開かれた教育課程を理念とする新学習指導要領に基づき、地域の産業、文化や地域課題の解決を題材とした探究活動、地元企業等と連携したオリジナル商品の開発など、地域の資源を生かした教育活動を展開しております。今後、表彰制度やコンテストなどを通じて、地域との協働活動を含む生徒の学習活動の成果や優れた学校の取組を評価し、先進的な取組を県下に普及するなど、各学校が切磋琢磨しながら地域の特性を生かした教育活動を充実させ、地域との連携をさらに深められるよう取り組んでまいります。  次に、福岡県祭り、行事の悉皆調査についてでございます。本調査は、消滅、変容の危機にある無形の民俗文化財の保護を目的に、発祥が昭和初期よりも前の祭りや伝統的な行事を対象として実施し、千二百十九件の祭り、行事を把握しております。そのうち、本県の特色を色濃く表している重要なもの百十一件について詳細調査を実施しているところであり、現時点では八十八件が終了し、新型コロナウイルス感染症の影響で未調査である二十三件については、来年度末までに終了する予定としております。  祭り、行事調査における映像記録についてでございます。映像記録は、中断や消失した祭り、行事を復活させる際の手がかりとなるほか、後継者の育成にもつながるなど、保存、継承していく上で重要であることから、詳細調査では全件を映像で記録することとしております。特に、写真では分かりづらい所作や芸能的な動きのある場面については動画で記録し、その特徴などを正確に把握、記録しております。  無形の民俗文化財の保存、継承に向けた取組についてでございます。調査の成果や映像記録につきましては、アーカイブとして県民が活用できるよう、祭り、行事を分かりやすく分類するなどしてホームページ等に掲載をいたしてまいります。このことにより、県民に祭り、行事の価値を認識していただき、その保存、継承に向けた機運の醸成を図るとともに、県の調査結果を踏まえ、市町村においても、価値が認められたものについて、衰退のおそれが高いものから順次映像による記録を進めるよう、当該市町村に促してまいります。さらに、市町村に対し、実施団体に国の補助金制度等を周知するよう、市町村の文化財担当職員に対する研修会などにおいて、より一層働きかけることによりまして、実施団体における保存、継承の取組を支援をしてまいります。 32 ◯議長(桐明 和久君) 壹岐和郎君。(拍手) *壹岐議員質問 33 ◯六十七番(壹岐 和郎君)登壇 皆さん、こんにちは。公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、孤独・孤立問題について質問をします。  NPO法人あなたのいばしょを立ち上げ、二十四時間三百六十五日、あなたのいばしょチャット相談を運営している大空幸星氏の著書「望まない孤独」の中で、孤独は日本社会が抱える喫緊の課題であり、さらなる対策の加速化が必要と述べ、同氏の働きかけがきっかけとなり、国の孤独・孤立対策につながることとなりました。二〇二一年二月、内閣官房孤独・孤立対策担当室が設けられ、坂本哲志孤独・孤立対策担当大臣が置かれました。国の示す孤独・孤立対策重点計画によれば、一、孤独・孤立に至っても支援を求める声を上げやすい社会とすること、二、状況に合わせた切れ目のない相談支援につなげる、三、見守り・交流の場や居場所を確保し、人と人とのつながりを実感できる地域づくりを行う、四、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動をきめ細かく支援し、官・民・NPO等の連携を強化することを柱に施策を展開するとしています。内閣官房のホームページによれば、なぜ孤独・孤立対策が必要かについて、「社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナの長期化によって、孤独・孤立の問題がより一層顕在化しています。これは、まさに現代の社会問題として、真正面から向き合うことが必要であるという考え方のもと、二〇二一年二月に孤独・孤立問題に取り組む、世界で初めての閣僚級ポストが設置されました。」とあります。  二〇一八年一月、イギリスのメイ元首相は、孤独担当大臣の設置を発表し、孤独対策に取り組んでいくことを宣言、孤独に取り組むと表明した世界で最初の国となりました。イギリス政府は、孤独に対し取り組むきっかけとなったのは、女性下院議員が自分の選挙区をくまなく歩き回っていると、高齢者、低所得層、母親、若者まで、あらゆる世代の人が抱えている問題の背景に孤独があることに気づいたことにあります。高齢者の孤独については早くから取組はなされてきましたが、高齢者以外の孤独についてはあまり注目されていませんでした。二〇一八年に行われたイギリスの調査では、孤独による経済損失は年間約五兆円と算出され、同年、イギリスの別の調査では、孤独を慢性的に感じているのは高齢者ではなく、十六歳から二十四歳の若者であるという結果が得られたようです。  そこで知事に質問をいたします。一点目、国は昨年十二月、全国の満十六歳以上二万人を対象に、孤独・孤立問題に関する実態調査を実施し、今年四月に結果を公表しました。この調査結果に対する知事の見解を求めます。  次に、この実態調査では、孤独をしばしば、もしくは常に感じるとした人のうち八割超が、行政やNPOなどからの支援を受けていなかったとの結果が出ています。本県では、支援を必要とする人が相談でき、支援機関へ確実につなげる体制となっているのかお伺いします。  令和四年三月、厚生労働省自殺対策推進室の調査によると、自殺者の約七割が男性であり、年代では五十歳代が最も多くなっています。しかし、最初に紹介した無料チャット相談窓口あなたのいばしょでは、この層の利用はほとんどなく、しかも相談者の七割が女性、またコロナ禍で女性の自殺者が増加し、特に無職者、女子高校生の増加が顕著との結果が出ています。二〇二一年、内閣府男女共同参画局の報告書には、コロナ禍で女性の無職者の自殺が増えたが、特に主婦が深刻だとの指摘があります。主婦は育児と家事のダブルストレス、加えて専業主婦は稼いでいない、稼いでいるほうが偉いなどといったモラハラ、経済的DV等がいまだに蔓延している現状であることが、主婦を追い詰めていると考えられています。  一回目の緊急事態宣言が解除された二〇二〇年六月一日から十二月三十一日までの七か月間に、このNPO法人あなたのいばしょに寄せられた相談は一万六千百七十八件、十代から二十代の相談が六二%、コロナ禍において、二〇二〇年四月第一回の緊急事態宣言から二〇二一年七月第四回目の緊急事態宣言下でのワードマップ分析において、死、デスは二回目以降最も使われるワードでした。学校というワードは、第二回目以降急激に上昇し、相談内容としては、学校がオンライン授業となり、修学旅行も延期になるか不安、濃厚接触者になったため、今日を含め十日間は学校を休まないといけない等、コロナ禍の影響を色濃く反映し、心身に不調を来した子供からの相談が数多く寄せられたとのことです。  知事にお尋ねをします。本県の自殺者の現状をお聞きするとともに、お示しした現状に対応した対策がなされているのか、またコロナ禍での影響をどう考え、どう対策を取っているのかお伺いをします。  次に、大空幸星氏は「望まない孤独」の中で、一九九五年、全国で百五十四か所しかなかったスクールカウンセラーの設置は、二〇二〇年には三万か所を超えた。二十五年で約二百倍に増加。しかし、この間小中高生の自殺者数は三・六倍に増えたことを指摘しています。多様な要因が考えられますが、本県のスクールカウンセラーの設置状況とその効果について、教育長にお伺いをします。  十五歳から三十九歳の死因の一位は自殺、先進国では日本だけです。中学、高校教師の五人に一人は生徒の自殺に、三人に一人は自殺未遂に遭遇したという二〇〇九年の調査結果もあります。本県でも、LINEでの相談窓口もありますが、令和三年度青少年インターネット利用環境実態調査では、本人専用のスマートフォンを持っていると答えた割合は、小学生六三・三%、中学生九一・一%であり、必ずしも全ての子供たちがLINEを使える環境にはありません。  そこで質問をいたします。GIGAスクール構想での一人一台端末を有効に活用すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。  最後に、今後本県においても、各知事部局相互、教育庁内、知事部局と教育庁との緊密な連携がますます重要となってまいります。また、ひきこもり、自殺、子供の貧困、居場所確保、生活困窮者支援など、NPOなどの民間団体の力がなくては支援事業は一歩も進みません。同時に、それらの底流には孤独、孤立が深く関わっています。よって、孤独・孤立対策を進めるためには、官民が一体となって取り組む必要があります。既存の施策を有機的につなげ、より支援の手が確実に届く体制づくりが必要です。そのことに対する知事の見解と、孤独・孤立対策に取り組むに当たり、知事の決意を伺います。  教育長にお尋ねします。不登校児童が全国的に、そして本県でも増加が続いております。不登校対策についても、学校だけではなく多様な関係者との連携が重要です。不登校児童生徒への適切な支援が行われなければ、将来的に孤独、孤立を深め、より深刻な事態に陥ることが危惧されます。不登校児童生徒を生まないための取組を進めることはもちろんですが、不登校対策の取組についての教育長の決意をお聞きします。  以上で一般質問を終わります。ありがとうございます。(拍手) 34 ◯議長(桐明 和久君) 服部知事。 *知事答弁 35 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  国の孤独・孤立問題に関する調査結果についてでございます。内閣官房が実施をいたしました、この調査の結果では、孤独感が常にある、しばしばあると回答した方は四・五%、時々ある、たまにあるを合わせますと三六・四%の方が孤独感があると答えていらっしゃいます。また、孤独感が常にある、しばしばあると御回答された方のうち二三・三%の方は、支援の受け方が分からないと回答をされております。県の様々な分野の相談窓口におきましても、長引くコロナ禍で、相談できる人がいない、あるいは生きづらいと感じるなどの相談が増えております。窓口の担当者からは、高齢者の親とひきこもり状態にある子供の世帯からの相談、あるいは生活困窮とDVや不登校などが絡んだ相談など、複雑かつ複合的な課題のある相談が多くなってきているとの報告を受けております。こうしたことから、今後孤独・孤立問題に対応していくためには、御本人が支援を求める声を上げやすく、また周りの方々が気づいて対処しやすい環境を整え、本人や御家族等の状況に応じ、行政や民間支援機関が多様なアプローチで対応していく必要があると考えております。  次に、本県における相談体制についてでございます。県の各相談窓口では、従来の電話や来所による相談のほか、メールやSNSなどのオンラインや街頭におけるアウトリーチ型の支援など、相談支援につながりやすい仕組みの充実に努めております。例えば、女性と社会のつながり支援事業では、街頭での声かけにより相談につなげるアウトリーチ支援やSNS相談を行いまして、相談内容に応じて専門機関へのつなぎや行政手続への同行支援などを行っております。自殺対策では、ふくおか自殺予防ホットラインに加えまして、新たにSNS相談を開始し、相談手段の選択肢を増やしまして相談しやすい体制を整備しております。また、県ひきこもり地域支援センターでは、県の保健所の所管圏域ごとにNPO法人等地域の関係機関が参画をいたします、ひきこもり支援者等地域ネットワーク会議を設置をいたしまして、個別のケースに対する適切な支援方法を支援関係者が集まって協議をすることにより、相談者の事情やニーズに合わせて確実に支援機関へつなぐ体制を構築しておるところでございます。  次に、本県の自殺者の現状と対策についてでございます。本県の自殺者数は、平成二十四年以降は減少傾向にございましたが、一昨年から増加に転じ、昨年の自殺者数は九百十三人と、一昨年と比較いたしますと三十五人の増加となっております。自殺者の六割から七割を占めます男性は、全体として下げ止まりの状況にございまして、また女性の増加と、年代別に見ますと、十代の男女の増加が顕著となっております。男性の自殺者数は、四十歳代と五十歳代の働き盛りが多く、原因は経済的な理由が多くなっております。コロナ禍以降、男性からの生活福祉資金の相談が増えておりますことから、県では丁寧な相談対応を行っているところでございます。一方で、コロナ禍において、児童生徒たちは、行事や部活動の中止、延期により、友達との交流や学校生活が制限されましたこと、女性は、非正規雇用の減少による失業や、育児、介護といった家庭内の問題が深刻化したことが影響しているものと考えられます。  このため県では、これまでの対面や電話での相談窓口に加えまして、若年層や女性が日常的に利用されておりますSNSを活用した相談窓口、きもちよりそうライン@ふくおかけんを、今年七月に開設をいたしました。窓口では、相談者の抱える不安な気持ちや悩みを丁寧にお聞きし、必要に応じて支援機関の紹介を行っております。なお、開設から五か月を経過いたしました十一月末までの相談件数は二千七百九十一件となっておりまして、このうち十代が約七〇%、女性が約六〇%を占めております。  次に、孤独・孤立対策の支援体制づくりについてでございます。孤独、孤立に至る要因は、健康、仕事、収入、結婚、住まい、人間関係などであったり、またそれらの課題が複合的に関連をいたしております。県ではこのような県民の複合的な課題についての情報共有と、各支援機関の協力による問題解決のための多様なアプローチについて協議いたしますため、女性、DV被害者、ひきこもり、生活困窮者、就労などの支援を行います担当部署及び県社会福祉協議会を構成員といたします住民包括的支援体制整備連絡会議を、昨年度から設置をしておるところでございます。この連絡会議におきまして、それぞれの相談窓口及び関連団体、NPOなど、各分野にわたる社会資源リストの作成や、支援機関同士の顔の見える関係づくりを行い、分野横断的な支援ネットワークの構築と、孤独、孤立にある方への寄り添った対応の実現を図ってまいります。 36 ◯議長(桐明 和久君) 吉田教育長。 *教育長答弁 37 ◯教育長(吉田 法稔君)登壇 スクールカウンセラーの設置状況とその効果についてでございます。本県におけるスクールカウンセラーの配置は、平成七年度より公立中学校三校からスタートして以降、教員だけでは対応が難しい複雑な心の悩みに対応するため、配置を拡充し、昨年度は公立小学校四百四十七校、公立中学校二百校、県立高等学校九十五校の全校に配置をいたしております。スクールカウンセラーの配置によりまして、児童生徒が学校という身近な場所で心の専門家に直接悩みを相談できる体制を整え、昨年度は約八万六千件の相談に対応しており、児童生徒の不安、ストレスを和らげることができております。また、学校としても、個々の児童生徒の心の問題について専門的な見地から早期の状況把握に基づく支援ができるようになるなどの評価を得ておりまして、いじめや不登校などの未然防止、早期発見、早期対応に一定の効果を上げてきたと考えております。  子供の相談に関する一人一台端末の活用についてでございます。様々な悩みを持つ生徒が一人で抱え込まず、気軽に相談できるよう、教育相談窓口にアクセスしやすくすることが重要であると考えております。このため県立学校に配備する一人一台端末につきましては、電話やSNSなどの相談窓口一覧を、生徒がいつでも見ることができるよう画面にアイコンを表示したり、相談のメールを送れるようにするなど、相談窓口の周知や相談機能の充実に活用してまいります。また、市町村教育委員会に対しても、一人一台端末を活用した教育相談体制の好事例を周知をしてまいります。  本県における不登校対策についてでございます。県教育委員会では、昨年十二月に、福岡県不登校児童生徒支援グランドデザインを策定いたしました。これに基づき、全ての児童生徒が安心できる居場所づくりや絆づくりによる新たな不登校を生まない学校づくりを基盤としつつ、関係機関と連携して不登校児童生徒の社会的な自立に向け、多様で適切な教育機会の確保に努めております。さらに、市町村の福祉部局や要保護児童対策地域協議会などとの連携を強化し、児童生徒やその家庭が孤立しないよう、児童生徒一人一人を大切にした取組を進めてまいります。 38 ◯議長(桐明 和久君) 井上博行君。(拍手) *井上(博行)議員質問 39 ◯二十三番(井上 博行君)登壇 自民党県議団、井上博行です。通告に従いまして、福祉避難所について質問いたします。           〔桐明議長退席 井上副議長着席〕  昨年の災害対策基本法の改正により、災害時に高齢者や障がいのある方などの円滑かつ迅速な避難を図るため、個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。近年、全国的に水害、土砂災害、地震などの自然災害が発生しています。高齢化が進む中、避難に何らかの援助が必要な方や、一般の避難所では避難生活が困難な方が増えております。高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦など、何らかの支援が必要な、いわゆる要配慮者のための避難所である福祉避難所は、本県では九月末現在七百二十九か所とお聞きしました。地域福祉センター、公民館などの公的施設のほか、多くが高齢者施設や障がい者施設などの民間の福祉施設との協定により確保されています。必要な設備や物資、人材があらかじめ整っている高齢者施設などを福祉避難所に指定することは、配慮を要する方々の安心、安全な避難生活に資するものだと考えます。  そこで知事に伺います。県内の福祉避難所の数は、要配慮者の数に対して十分に足りているのでしょうか。また、福祉避難所の確保は市町村が行うことではありますが、福祉避難所の確保について、県は、市町村に対しどのような支援を行っているのかお答えください。  避難所は、利用する被災者による自主運営が原則とされています。しかしながら、福祉避難所では、避難者である要配慮者による自主的な避難所運営は困難であります。要配慮者自身が運営の主体にはなれませんので、必ず一定の人手が必要となります。このため、福祉避難所となっている受入れ施設側の人材確保も大きな課題であると言えます。介護業界では人手不足が叫ばれていますが、災害時には、それ以上の状況に陥るのではないでしょうか。平成二十八年の熊本地震の際には、指定福祉避難所となっていた高齢者施設において、二十名近くの職員が被災し、出勤不可能となったことがあったとお聞きしました。  そこで知事に伺います。本県では、福祉避難所の運営に当たる人材は確保されているのかお答えください。  また、このような事態をあらかじめ想定し、地域住民や大学生などのボランティアを有効に活用することも重要と考えます。平成二十八年の熊本地震の際、ピーク時には千五百人前後にもなった学内の避難所運営を学生ボランティアが行った大学もありました。本県の取組状況をお尋ねします。  福祉避難所に避難する要配慮者は、災害による生活環境の変化によって、身体的、精神的な負担を受け、状態が悪化する可能性もあります。感染症対策や熱中症対策にもより一層の配慮が必要となります。継続的に避難者の健康状態を観察するためには、福祉避難所に医師や看護師、保健師、介護福祉士などの専門人材を配置することが重要だと考えます。国は、福祉避難所の確保・運営ガイドラインにおいて、市町村に対し福祉団体や事業者と協定を結ぶなどして、災害時に人的支援を得る体制を構築するよう求めていますが、県内市町村の対応状況をお尋ねします。  また、専門人材の確保を市町村だけに任せていては、人材の確保は困難だと思われます。国のガイドラインでは、専門人材を広域的に確保するために、都道府県が調整役となるべきことが示されています。本県では、令和三年三月に二十一の福祉関係団体と協定を締結し、介護福祉士や社会福祉士などの専門人材を避難所等に派遣する災害派遣福祉チームDWATを発足させています。現在、介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士など二百五十名を超えるチーム員の方々が登録しているとお聞きいたしました。発足後、着実にチーム員の数が増えており、大変頼もしく、チーム員の皆さんの熱意を感じます。ただ、チーム員の皆さんはそれぞれ所属する団体が異なる方々であり、発足後の派遣実績はまだないと聞いています。実際の災害時に、チームワークをもって、どのように福祉職の専門性を発揮していただくのか、関係者で訓練を行うなど平時からの取組が重要だと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。  近年、災害が頻発化、激甚化している中、市町村において、要配慮者が安心して避難できる体制を構築できるよう、広域自治体である県の役割としてしっかり取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 40 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 41 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁を申し上げます。  福祉避難所の確保についてお尋ねがございました。市町村が指定しております福祉避難所七百二十九か所での受入れ可能人数は二万一千五百人余となっております。県地域強靱化計画を策定する際に推計をいたしました福祉避難所への避難を必要とする要配慮者数は約三万人でございまして、現在の受入れ可能人数では約一万人不足しております。引き続き福祉避難所の確保に取り組む必要があると考えております。このため県では、福祉避難所設置・運営に関するマニュアルを随時更新し、この中で、社会福祉施設や公共施設を福祉避難所として活用する事例や、その場合の留意点を示しますとともに、避難所選定の手順や協定書の例を提供するなど市町村の取組を支援しております。  次に、福祉避難所の運営人材の確保についてでございます。福祉避難所の運営に当たる人材の確保につきましては、市町村が社会福祉施設等を福祉避難所に指定する際に、あらかじめその運営スタッフとして当該市町村の職員を派遣することを取り決めております。また、発災時に県社会福祉協議会におきまして、応援職員派遣の要否を調査をいたしまして、必要な人材を施設間で融通することにより、福祉避難所の運営体制の維持に努めているところでございます。御指摘のとおり、被災の規模や程度によっては、福祉避難所の運営に必要な人材を確保できない場合がございます。こうした場合に備え、平成二十九年七月の九州北部豪雨災害で活躍をいただきましたような学生ボランティアに、避難所の運営等を手伝っていただくことは有効であると考えます。このため、今後県が県社会福祉協議会と共に、災害ボランティア活動の連携支援に関する三者協定を締結しておりますFネット、災害ボランティアの中間支援組織でございますが、このFネットの協力を得ながら、県内大学生等を対象とした福祉避難所運営人材を育成する研修などにも取り組んでまいります。  市町村における専門人材の確保状況についてお尋ねがございました。県では、これまで市町村に対し福祉避難所として指定しております社会福祉施設等と平時から連携を図り、災害時の活動体制について取り決めておくことを要請してまいりました。その結果、三十五の市町村において三百六十五の社会福祉施設等と協定を締結し、介護福祉士や社会福祉士等の専門人材を確保しております。  次に、災害派遣福祉チームDWATの平時からの取組についてでございます。県では、災害時に避難所等で発生する様々な福祉ニーズに対応できますよう、昨年度から県社会福祉協議会と連携してDWATのチーム員に対する研修に取り組んでおります。具体的には、災害時の福祉支援に係る基本的知識やチームの役割、活動の流れについての理解を深めます養成研修、また保健師や理学療法士等の職種を超えた連携による支援方法、初動期の避難所支援の在り方など、実践的な知識を習得いたしますフォローアップ研修を実施をしているところでございます。これに加えまして、来年度からは総合防災訓練において、実際の災害を想定して、市町村が行う避難所設営、運営訓練と連携をいたしましたDWAT活動訓練を実施する準備を進めているところでございます。 42 ◯副議長(井上 博隆君) 江頭祥一君。(拍手) *江頭議員質問 43 ◯十九番(江頭 祥一君)登壇 自民党県議団の江頭祥一です。通告に従い、障がい児保育に関する県の取組状況について一般質問いたします。  私を応援いただいている支援者の皆様の中には、多くの保育士さん、保育園で働いてる保育士さんがいらっしゃいます。その方たちからお伺いした話になりますが、最近園において、発達が気になる子供が増えてきているのを感じるとのことでした。なかなか先生の言うことを聞いてくれなかったり、じっとしていることが苦手であったりする子もいて、どうしても手がかかってしまい、休憩時間も取ることができないとのことでした。また、日常的に人工呼吸器による呼吸管理や胃瘻、たんの吸引など、医療的なケアが必要な子供たち、いわゆる医療的ケア児と言われる子供の受入れは可能なのかといった問合せが保育園にあるとも聞いております。医療的ケア児については、昨年九月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、保育所においても受入れを進めていくこととされました。県としても、医療的ケア児の受入れ促進を図る必要があると思います。  そこでお伺いいたします。本県の認可保育所などにおける昨年度の医療的ケア児の受入れ実績及び医療的ケア児の受入れを進めていくため、県としてどのような取組を行っているのかをお答えください。  次に、医療的ケア児に限らず、障がい児保育のニーズは年々増加しているものと考えられます。そのような中、保育所において、施設側が障がい児の受入れに対応できず、子供を保育所に預けることができなかった事例も生じていると聞いております。  そこでお伺いします。そのような児童がどのくらいいたのか、またその理由はどのようなものだったのかをお答えください。  続いて、障がい児に対応する保育士の人件費の関係についてです。当該費用に関しては国が財源措置を行っており、具体的には、市町村に対して、実際に受け入れた障がい児の数に応じ一人当たり一年間で百五十万円、月に換算すると十二万五千円の交付税措置がなされています。国においては、おおむね障がい児二人につき一名の加配保育士が必要との認識と思いますが、市町村によっては、そもそも補助制度がなく、保育園に障がい児がいて、新たに加配保育士を雇用したとしても、補助金がもらえないところや、国の交付税措置と比べて補助額が大きく下回るところもあると聞いております。また、保育所によっては、経営上の事由により加配保育士が雇えず、障がい児の受入れができないということも考えられます。  こういったことからも市町村における補助制度の充実が必要であると思いますが、県内市町村における障がい児保育の対応状況について、知事の認識をお伺いいたします。  障がい児保育については、市町村が実施主体ではありますが、広域行政を行う県がしっかりと取組を進めることで、児童はもとより、保護者が安心して保育所を利用できるほか、保育現場の負担の軽減、保育士の離職防止につながるものと考えています。  県として、県内市町村の実態を踏まえ、今後障がい児保育をどう充実させていくのか、具体的な取組をお聞かせください。  障がい児保育は、障がいがあるなしにかかわらず、インクルーシブ教育の観点からも、今後ますます充実させていく必要があるものと思います。本県の総合計画にも定めております、子供を安心して産み育てることができる社会が実現できるようしっかり取り組んでいただければと思います。
     以上で質問を終わります。(拍手) 44 ◯副議長(井上 博隆君) 服部知事。 *知事答弁 45 ◯知事(服部 誠太郎君)登壇 御答弁申し上げます。  まず、認可保育所等における医療的ケア児の受入れ実績及び受入れを進めるための取組についてでございます。昨年度の受入れ実績は、県内の千四百三十六園のうち十八園で二十三人となっております。昨年九月に、医療的ケア児支援法が改正をされまして、医療的ケア児の保育所等での受入れが地方公共団体の責務とされました。医療的ケア児を受け入れますためには、看護師の配置が必要となりますことから、その配置に係る補助制度も併せて拡充されております。県ではこれらを踏まえまして、市町村に対し当該補助制度を活用した看護師の配置による医療的ケア児受入れの促進を要請しておりまして、今年度は昨年度より十団体多い十六団体で、この補助制度を活用する見込みとなっております。また、今年度は、保育所等で勤務されております看護師に対し、医療的ケア児への対応を目的とした実習を伴う研修を実施いたしました。県では、引き続きこうした取組を進めまして、保育所等での医療的ケア児の受入れを促進してまいります。  次に、認可保育所等の事由により、受入れができなかった障がい児の人数及びその理由についてお尋ねがございました。今年四月時点の調査では、県内で障がいのある児童の受入れができなかった事例が五件報告されております。その理由といたしましては、障がい児保育を実施する加配保育士が確保できなかったことによるものが四件、障がい児に対応する設備が十分でなく、受入れができなかったことによるものが一件となっております。  県内市町村における障がい児保育への対応状況に係る認識についてお尋ねがございました。今年五月に実施をいたしました実態調査では、障がい児保育を行う保育所等に対し、加配保育士に係る補助を実施しております市町村は、六十市町村中五十市町村となっておりまして、このうち二十の市町村は補助単価が交付税の算定基準を下回っております。全ての市町村において障がい児保育を進めていくためには、保育所等での障がい児の受入れ体制を支援する補助制度の創設、充実が大変重要であると考えております。  障がい児保育の充実についてでございます。市町村の障がい児保育に係る保育所等への支援体制や、補助対象児童の範囲、補助金額などは、それぞれ異なっておるところでございます。このため県では、今年度県の保育協会や障がい者支援センターなどの専門機関の有識者及び市町村の保育担当課による会議を設置をいたしまして、障がい児保育に係る市町村の支援の在り方等について協議を行っておるところでございます。その協議を踏まえ、今後要支援児の受入れフローや市町村による補助制度、協力機関による技術的援助などのモデル実施例を取りまとめ、市町村や保育所等に提供いたしますとともに、支援体制が十分でない市町村に対し、支援の充実を働きかけてまいります。また、保育所等が障がい児の受入れを円滑に進められますよう、障がいの特性や支援方法などにつきまして、理解を深めるための研修を充実していきたいと考えております。こうした取組によりまして、県内の障がい児保育の向上を図ってまいります。併せて、国に対し、障がい児保育に取り組んでいる市町村の実態に即した十分な財政措置を講じるよう、引き続き要望を行ってまいります。 46 ◯副議長(井上 博隆君) 本日の一般質問はこれまでとし、残余は明日取り進めることにいたします。  本日はこれをもって散会いたします。           午 後 二 時 二十八分  散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...